少しまえのことですが、こんな記事を新聞で読んだことがあります。小学三年生の子どもを毎日プールに連れてきている母親の話。なぜそんなことをするのか。「将来の受験に備えての体力づくりです」というのが、その答えです。子供時代はじゅけんのための待ち時間にすぎないということなのです。受験地獄ということばがあります。教育のゆがみも、いまでは、①ここまで来たのか。――これが、その記事を読んだときの卒直な印象でした。 むろん、限られた生涯ですから、未来のために（②）をもち、しっかり備えをすることは大切です。しかし、またそれがいき過ぎますと、現在というときが、つねに③固有の意味を失って、しょうらいのための準備のときになってしまう。そうすると、現在を本当に大切に生きることが（④）しまう恐れがでてきはしないでしょうか。もしも、そんな形で、それぞれの時期に固有の意味を持った人間形成がなされないのなら、⑤育ちそびれたまま、幼児的な人間が作られるだけではないでしょうか。そして未成熟のおとなになり、老化していくだけの人生になるのではないでしょうか 答案： 子どもの時代は受験のための待ち時間にすぎない、と考えるところ。